どのぐらいの数の地方自治体で「自治基本条例」は制定されているのですか?

 これまでに全国で200を超える市町村で制定されています。都道府県で制定されたのは神奈川県だけです。全国で最初に制定されたのは2003年(平成13年)、北海道ニセコ町で制定された「ニセコ町まちづくり基本条例」です。以後、平成16年には10の自治体で、平成17年には25の自治体で、平成19年には36の自治体で、平成20年には29の自治体で、平成22年には33の自治体で制定されています。

「自治基本条例」は自治体によって名前が多少、異なります。例えば「住民基本条例」「まちづくり基本条例」「市民参画協働条例」「行政基本条例」などという呼ばれ方をしますが、その内容はほとんど同じです。

「自治基本条例」とは何ですか?

 本来、市や町の運営=行政はその地域の住民が選挙で選んだ市長や町長、そして議員が議会を開いて決めます。住民は自分の仕事や生活で手一杯で、行政に関わる余裕はありません。だから選挙で代表者を選び、その人に行政を任せているわけです。これを「間接民主制」と言います。

ところが「自治基本条例」は市民に行政への参加を促します。「自分の街は自分たちでおさめましょう」とか「市政に積極的に参加しましょう」などという「直接民主制」を促す文章が書かれています。これは一見、良いことのように見えるので多くの議員はその危険性に気づきません。保守系の議員ですら賛成してしまいます。しかし一度この条例が制定されると、行政は大変な混乱に陥ります。しかも一度条例が制定され、市民に権利が与えられたらそれを覆すのは至難の業です。ですから制定される前に阻止しなければなりません。

「市民が行政に参加する」のは良いことではないのですか?

 「市民」とは誰のことでしょうか? 「国民」でもなく「住民」でもないところが落とし穴です。「自治基本条例」でいう「市民」の範囲は実に広いのです。例えば「市内に居住している者」=市民と考えれば外国人も入りますし「市内に事務所を有する個人や団体」=市民ならよその地域の住民や団体も入ります。「市内の学校に通う人」=市民と考えれば未成年者も市民です。市民の定義をわざと曖昧にして外国人やプロ市民が入りやすくしているのです。

「自治基本条例」には「市民の意思を政治に反映するために」という理由で常設型住民投票の規定を設けています。住民投票の結果には法的拘束力はないとされていますが、地方自治体は事実上、住民投票の結果を尊重しなければなりません。もし市民の中に外国人も含まれるということになるとこれは事実上、外国人参政権と同じで、大変な問題です。国政には参加できないにもかかわらず地方行政には参加できる外国人が生まれてしまうのです。

さらに問題なのは「条例」が国の法律よりも優位にあるかのような記述があることです。憲法94条では条例の制定は「法律の範囲内」と定められており、条例よりも法令のほうが優位なはずです。しかし、これまで各地で制定された「自治基本条例」にはこれが最高規範で、場合によっては議会よりも首長よりも上である、という考え方が盛り込まれています。これを拡大解釈すれば、例えば選挙で選ばれた首長を住民投票でクビにすることもできてしまいます。基地の問題など、安全保障に関わることも国政レベルではなく地域の住民投票で左右できるという、恐ろしい条例です。


「自治基本条例」はどのように作られるのですか?

 元横浜市職員だった松下啓一という人が書いた『自治基本条例の作り方』という本があります。これによると説明会→意見公聴会(ワークショップ)→検討委員会の会員公募→条例案作成→説明会→議会に提出→条例制定→推進委員会設置→市民説明会実施、という手順を経て「自治基本条例」は制定されます。推進委員会の委員は選挙で選ばれるわけではないのに、なぜか絶大な権力を持っています。場合によっては議員や首長も推進委員には逆らえないという、不可解な状況が生じています。

「自治体基本条例」を最初に提唱したのは法政大学教授だった松下圭一で1994年(平成6年)、村山内閣の時でした。1991年12月にソ連が崩壊し、共産主義はこれで地球上から消え去るかと思われました。しかし日本の共産主義者は方向転換をして生き残りを図りました。?反日?環境?地方自治、と3つの方向に分かれて目立たない形で勢力を拡大して来たのです。国家を転覆させることが無理ならまず地域を国家から引き離し、地域の中でヘゲモニーを握り、地方議会に立法権を設置し、日本を連邦制国家にして解体しよう、という企みです。「自治基本条例」は共産主義者が生き残るために考え出されたものなのです。

「自治基本条例」を裏で仕組んでいるのは誰ですか?

 地方公務員の組合である自治労で、理論的には「自治労総研(公益財団法人 地方自治総合研究所)」が指導しているものと思われます。しかし本来、公務員は政治的に中立でなければならない、とされています。地方公務員法第36条には「職員は政党その他の政治的団体の結成に関与し、もしくはこれらの団体の役員になってはならず・・・」とあります。しかしこれは建前で、実際には民間企業よりもなぜか地方公務員や教員に左翼が多いのが日本の現状です。

2009年の「自治労運動方針 第2章 たたかいの指標と具体的進め方」には驚くべきことが書かれています。例えば「核兵器廃絶の取り組み」「部落解放、人権のまちづくりの取り組み」「子どもの人権を守る取り組み」「政権交代にむけた民主・リベラル勢力の総結集の取り組み」「アジア・太平洋地域を中心とする国際連帯の取り組み」など、まさに左翼の主張そのものの内容が堂々と書かれています。

私たち国民の税金で養われている公務員が平然と国家解体の運動を繰り広げているのに、国民はなぜそれを許しているのでしょうか? 戦後の日本は共産主義に対してあまりにも無防備だったことが「自治基本条例」に結びついたのだと思います。

「自治基本条例」を阻止するにはどうすればよいのですか?

 自分の住んでいる地域で「自治基本条例」が制定されていないか、あるいは検討されていないか、を調べる必要があります。まだ制定されていなければ、地元選出の議員に連絡を取り、この条例を阻止するように頼んでください。ほとんどの議員は条例の危険性に気づいていません。なかにはこういう条例がよその自治体で制定されていることすら知らない議員もいます。早めに注意を喚起しなければなりません。

「自治基本条例」にはいくつかのキーワードがあります。「市民主権」「市民の信託」「市民協働」「市民参画」「新しい公共」などといった言葉には要注意です。また、外国人に住民投票権を与えるのは憲法違反です。平成7年2月28日、最高裁第3小法廷で一つの判決が下されました。「地方自治について定める憲法第8章は93条2項において、地方公共団体の長、その議会の議員・・・(中略)・・「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない。」というものです。「自治基本条例」で外国人を「市民」に入れるのは明らかに憲法違反なのです。

参考文献:村田春樹『日本乗っ取りはまず地方から!ー恐るべき自治基本条例!』(青林堂)


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